アイ工務店の制震ダンパーAIダンパーは標準仕様か解説|Dual Shieldが全棟搭載になった理由と注意点

アイ工務店の制震ダンパー「AIダンパー」は標準仕様なのか、旧仕様との違いは何か、そして全棟標準化の狙いと注意点はどこにあるのかを、施主目線で徹底的に解説します。

前提として、2025年9月以降の契約からはオリジナル制震装置「AIダンパー Dual Shield(デュアルシールド)」が全棟に標準搭載される取り扱いへ移行しました。

これにより従来のように支店や時期によって制震がオプション扱いになり差額判断が必要だった状況から、追加費用なしで制震が付く前提に変わり、設計や見積の進め方が実務的にも大きく改善されています。

一方で、標準化は魔法の杖ではなく、配置や本数、耐力壁との関係、吹抜や大開口との両立など、具体の図面で詰めるべき論点は確実に残ります。

本稿では、AIダンパー Dual Shield の仕組みと体感上の効き方、標準化の背景と意義、旧仕様との違い、間取りと構造の取り合い、契約書での確認項目、費用配分の考え方、地震後の運用、将来リフォーム時の注意までを網羅し、迷いをゼロに近づけることを目指します。

注文住宅、決める前にこれだけは確認

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AIダンパーは標準仕様かを最初に明確化する

結論は「2025年9月以降の契約は標準搭載」です。

このタイミング以降は、全棟が制震前提の構造設計となり、施主側で制震の有無を選ぶ手間や、差額に関する迷いが基本的に不要になります。

ただし過渡期の見積やエリア事情で表記が混在する可能性もゼロではないため、見積書と仕様書に「AIダンパー Dual Shield 標準搭載」「数量」「位置」が記載されているかを必ず目視で確認してください。

標準化の3つの即効メリット

標準化によって得られる“すぐ効く”利点を整理します。

  • 採否で迷う時間が消え、打ち合わせの焦点を窓や配線など後から替えにくい領域へ集中できる。
  • 設計が最初から制震込みで耐力壁バランスを取れるため、偏心や壁量不足のリスク説明が明快になる。
  • 将来の住宅履歴に「制震標準」の事実が残り、長期保有や売却時の説明が簡潔になる。

この三点だけでも、標準化の実務メリットは十分に大きいと判断できます。

標準表記のチェックポイント

図書に落ちていない情報は、あとから蒸し返しのタネになります。

書類確認すべき記載OKの目安
見積書AIダンパー Dual Shield 標準計上の明記金額科目の「標準」または「差額0」表記
仕様書型式名と数量、本数の基準「全棟標準」「設置基準は構造計算による」など
平面図・構造図設置位置の通り芯表示、耐力壁との連動耐力壁配置図に相当の記号が反映

三点セットでそろえば、着工後の齟齬は大きく減ります。

AIダンパー Dual Shield の仕組みと効き方

Dual Shield は「耐力壁機能」と「制震機能」を一体化したハイブリッド要素です。

平常時は壁倍率の高い耐力壁として建物のたわみを抑え、地震時には摩擦要素が働き、入力エネルギーを熱に変換して揺れを減衰させます。

摩擦式は温度依存が小さく、繰り返し地震でも安定して働く点が評価されています。

日常から地震時までの挙動を段階で理解する

「いつ何がどう効くか」を段階で言語化します。

段階Dual Shield の働き体感・建物への影響
平常時耐力壁として水平力に抵抗風や日常荷重に対する変形が小さく安定
中小地震初期剛性で変形を抑制仕上げ・建具のズレやビビり音が抑えられる
大規模地震摩擦要素がエネルギーを吸収最大応答変位の低減、内外装損傷の抑制に寄与
余震期繰り返し入力に対し減衰を継続累積損傷の蓄積を軽減、補修費の抑制に期待

耐震等級や接合金物の適正化と組み合わせることで、建物全体のレジリエンスは段違いに高まります。

配置計画の基本原則

制震は置けば効くではなく、置き方で効きが変わります。

  • 一階の水平抵抗ライン上にバランスよく配置し、偏心を小さく保つ。
  • 開口部や階段、吹抜近傍の剛性低下域を考慮し、要所を締める配置にする。
  • 耐力壁と制震壁の“混ぜ方”は構造計算で最適化し、数量を最小にしながら効果を最大化する。

意匠先行ではなく、意匠と構造を同時に走らせることが成功の近道です。

全棟標準化の背景と狙いを読み解く

標準化は単なるキャンペーンではなく、基礎性能の平準化という中長期戦略の一部です。

外皮性能や換気、窓のグレードなど「毎日効く性能」を底上げしてきた流れに、構造側の安心を明確に加えることで、どの家でも一定以上の耐震・制震品質を確保する狙いがあります。

また、見積と設計のプロセスから「制震をどうするか」という分岐を排除でき、打ち合わせの集中力をより本質的な論点へ振り向けられます。

標準化がもたらす社内外プロセスの変化

業務フローに現れる変化を俯瞰します。

領域変化施主への効用
見積差額項目の消滅で整流化比較が容易になり判断が速い
設計制震前提で壁量バランス最適化偏心説明が明快、後戻り減
施工標準手順化で品質安定施工ばらつきの抑制
アフター点検基準の統一地震後の判断が迅速

プロセス全体のムダが削れていくことが、最終的には住み心地の安定に跳ね返ります。

旧仕様との違いと“体験価値”の変化

オプション時代は、制震の採用有無で図面や見積が二重化しやすく、議論が散らばる課題がありました。

標準化により、施主の判断エネルギーを「外皮」「遮蔽」「配線」「空配管」「照明回路」といった暮らしの持続性に直結する領域へ集中できます。

結果として、入居後の体感やランニングの満足度が高まりやすくなります。

標準化のビフォーアフターを比較

施主視点での違いを簡潔に可視化します。

項目標準化前標準化後実感される効果
採否判断差額と効果で検討必須原則全棟搭載意思決定の時短
設計最適化有無で壁量バランスが変化制震前提で配置最適化偏心抑制、説明が明快
総額配分制震差額が他項目を圧迫外皮・配線へ投資を回せる体感と更新性の向上

「やるかやらないか」を超え、「どう活かすか」に思考を進められるのが最大の価値です。

間取り×構造の取り合いを先回りで解決する

制震は設置して終わりではなく、間取りとの整合が肝です。

とくに吹抜や大開口、中二階、連窓、リビング階段など“効く意匠”は、構造の要と衝突しやすいので、初期段階から構造担当と同席で議論するのが正解です。

以下の表を打ち合わせのたたき台にしてください。

よくある要望と解決策のマトリクス

要望と構造論点、現実的な落としどころを対応付けます。

要望構造側の論点現実解
大開口・連窓壁量不足と偏心の増加制震壁の近接配置と梁成調整で補正
吹抜+階段剛性低下と気流の偏り吹抜縁に制震を配置、循環ファン併用
中二階・スキップ荷重ルートの複雑化開口を抑え梁位置と制震位置を先決
回遊動線連続開口で剛性散逸要所に壁を残し視線で広さを演出

構造を味方に付けると、意匠の説得力はむしろ増します。

設計段階のチェックリスト

図面確定前に必ず確認したい要点を抽出します。

  • 耐力壁配置図と制震壁記号の整合が取れている。
  • 通り芯ごとの偏心の説明が書面化されている。
  • 階段・開口との干渉がない納まりになっている。
  • 点検・将来改修に必要な“触ってはいけない壁”の一覧がある。

この四点が揃えば、設計の地盤は十分に固いと言えます。

契約書と図書で“後悔ゼロ”を仕込む

良い家は紙でつくられます。

口頭合意は時間とともに曖昧化するため、標準化項目こそ書面と図面に落とし、誰が読んでも同じ解釈になるようにしておきましょう。

契約前に明文化すべき項目リスト

次の項目を契約書や仕様書に記載してもらい、PDFと紙で保管します。

  • AIダンパー Dual Shield を標準として計上する旨と数量。
  • 設置位置を示す図面(通り芯と寸法入り)と耐力壁配置図。
  • プラン変更時の再計算・再配置フローと費用負担のルール。
  • 引渡し時に受け取る構造図書・取扱説明・注意事項のリスト。

将来のリフォーム計画時にもこの資料一式が“命綱”になります。

図書保管のベストプラクティス

家の履歴は資産価値です。

資料保管方法備考
構造図・壁量計算紙の原本とクラウド二重保管PDFに日付・版を追記
見積・仕様書差分版をフォルダで管理変更履歴を表で残す
検査・測定記録写真と一緒に時系列保存地震後の記録と連携

“見える化”は未来の自分を助けます。

費用配分の考え方|制震が標準になった今どこに投資するか

制震の差額判断が消えた分、他の“毎日効く領域”へ投資を回しやすくなりました。

長期の満足度と維持費を左右するのは、窓・断熱・気密・日射遮蔽・配線・空配管・照明回路の設計です。

以下は配分の優先順位と根拠を示すテンプレです。

配分テンプレと実務的根拠

費用対効果の順に並べて検討します。

優先度投資先理由後からの是正難易度
1窓・断熱・気密体感と光熱費の土台
2日射遮蔽(庇・外付ブラインド)夏の冷房負荷を直撃
3配線・空配管将来の更新コストを圧縮
4照明の回路設計家事とくつろぎの切替に直結
5一階の床・建具グレード印象と耐久の中心低〜中

“今しかできないこと”から順に資源を配るのが、後悔を最小化する王道です。

地震後の運用とアフターの要点

制震は「揺れをゼロにする装置」ではなく「揺れのエネルギーを減らす装置」です。

地震後は必ず状態確認を行い、異常が疑われる場合はアフターへ連絡し、記録を残してください。

以下のタスクリストをスマホの定期予定に登録しておくと安心です。

地震後チェックのタスクリスト

軽微な揺れでも確認習慣を作ることが重要です。

  • 壁・天井・床のクラックや仕上げの浮きを目視し写真に残す。
  • 建具の建付け変化や開閉音の変化を動画で記録する。
  • リターン位置や配管周りの異音・振動の有無をメモする。
  • 家具の転倒防止金物や固定具の緩みを再点検する。

記録があるほど、アフターの判断は速く正確になります。

制震と防災の役割分担

制震は建物の挙動を穏やかにするための装置であり、家具転倒や停電対策は別レイヤーです。

領域主な対策備考
建物挙動AIダンパー、耐震等級、接合部管理構造と制震の両輪で抑制
室内安全家具固定、飛散防止フィルム制震有無に関わらず必須
ライフライン感震ブレーカー、備蓄、水停電・断水時の自衛策

多層の安全策が、家族の安心を守ります。

将来リフォーム時の注意点

制震壁や耐力壁は「触らない」が大原則です。

開口拡大や間取り変更を検討する際は、設計担当へ構造確認を依頼し、代替補強や配置見直しを前提としたプランニングに切り替えてください。

図面と仕様書を保管しておけば、判断はスムーズです。

“やってはいけない”と“やるならこうする”

誤解が多い領域なので明確に線引きします。

  • 制震壁・耐力壁の撤去や移設を自己判断で行わない。
  • 開口拡大は代替補強前提で、構造計算と一体で進める。
  • 点検口や配線の追加は、躯体や制震部位に干渉しない位置を選定する。
  • 工事前後で写真と報告書を残し、住宅履歴へ追記する。

未来のリフォーム成功は、今日の記録とルール順守から始まります。

Q&A よくある質問

検討段階で頻出する疑問を簡潔に解消します。

Q1 制震が標準なら、耐震等級は気にしなくてよいのか

いいえ。

制震は“揺れを減らす”仕組みであり、耐震等級や基礎、接合金物、壁量配分などの“壊れにくい骨格”を代替するものではありません。

両者は補完関係にあります。

Q2 吹抜や大開口を入れても制震で何とかなるのか

設計次第です。

制震は万能ではなく、壁量不足や偏心が大きいプランは制震があってもリスクが残ります。

初期段階から構造と意匠の同時最適化が必須です。

Q3 標準化で費用はどこが変わるのか

制震の差額判断がなくなるため、窓や遮蔽、配線など後から替えにくい領域へ配分を回しやすくなります。

総額は個別条件で上下しますが、意思決定の速度と満足度は向上しやすくなります。

ケーススタディ 35坪・吹抜ありの例

延床約35坪、南面に吹抜、東西に連窓、回遊動線をもつプランを仮定し、制震配置の考え方を示します。

一階の中央〜北側に制震壁をバランスよく配し、吹抜縁の剛性を補強しつつ、連窓側は庇と外付け遮蔽で日射を制御します。

配線は将来の壁内ルート確保のため空配管を主要経路に先仕込みし、照明は家事・くつろぎ・夜間の三面運用が可能な回路分けを採用します。

構造・意匠・設備の整合を表で確認

三者の整合を一目で把握します。

領域施策効果
構造一階心に制震、吹抜縁の剛性確保偏心抑制と変位低減
意匠連窓は方位で寸法調整、視線で広さ演出壁量確保とデザイン両立
設備外付遮蔽+庇、空配管先仕込み夏負荷低減と将来更新性

このように、制震は“全体設計のピース”として最初から組み込むのが最も合理的です。

まとめ|標準制震の時代に賢く設計する

AIダンパー Dual Shield が全棟標準になったことで、制震は“やるかどうか”の議論から“どう活かすか”の段階へ進みました。

標準化は、設計の一貫性、見積比較の明瞭性、アフターの判断基準の統一という三つの実務価値を生み、施主にとっては思考体力を本質的な選択に割ける環境を与えます。

次にやるべきは、図面と仕様書で「標準」「数量」「位置」を明記し、吹抜や大開口、中二階などの意匠と衝突しない配置を初期段階で固めることです。

そして、浮いた判断エネルギーと費用を、窓・断熱・気密・日射遮蔽・配線・空配管・照明回路という“毎日効き、後から替えにくい領域”へ振り向けてください。

制震は家族の安心を支える見えない装備です。

その価値を最大化するのは、紙に残す習慣と設計の同時最適化、そして暮らしの運用という地味な積み重ねにほかなりません。

標準制震の時代にふさわしい、総合力の高い住まいを賢く手に入れましょう。